Ulysse Collin Extra-Brut(ユリス・コラン・エクストラブリュット)を飲む

飲んでみて

シャンパーニュの生産者は無数にいるのですべての生産者のシャンパーニュを飲むことなどとうてい無理である。なので目についたものを片っ端から選んでいくということはできない。たいていは宣伝文句やら、人から勧められたものやら、評判などにあたりをつけて選んでいる。もちろんセールで値段的な魅力があるとかデザインが気に入ったということもあるだろう。

今回取りあげるユリス・コランは販売業者の宣伝文句に乗せられて選んだものである。

ワイン愛好家やレストランのサービスの方から何度もジャック・セロスというシャンパーニュの生産者の評判を聞いていたので、セロスの名前がからむだけで何か良いものを期待してしまうところがある。このユリス・コランもまさしくそれで、若いころにジャック・セロスでシャンパーニュ造りを学んでセロスの影響を受けた生産者という紹介にまず惹かれた。そして決定的だったのはテイスティングコメントにある「凝縮した果実味が口の中を支配するこれぞブランド・ド・ノワールというユリス・コランの渾身の1本」という宣伝文句だった。

もともとブラン・ド・ノワールは好きなので、飲んだことはないが凄いと評判のセロスから影響を受けた人の作る渾身の1本はどんなものなのだろうと好奇心をかきたてられ、普段飲むものの倍くらいする値段のシャンパーニュを選ぶことになったのであった。こういう消費行動をして思うことは、もし評判をあてにしているセロスのシャンパーニュが自分好みでなかったら、こうはならないだろうから、ずいぶん根拠のうすい評判にまどわされているなと恥ずかしくなるのである。

乗せられてしまったテイスティグコメントをあらためて見てみると、なかなかのもので読んでいるだけでも期待は大きく膨らんでしまう。ここまで書かれたらさすがに仕方がないかと思う。これを読んで買わないと後悔しそうに思えてくるのが、こういう宣伝文句の上手なところである。

2004年から耕作するバルボンヌ・ファイエル村のレ・マイヨンという区画のピノ・ノワールのみで造られたブラン・ド・ノワール。
香りはかなり強いミネラル感から洋梨や摩り下ろしたりんごなど終始果実香が中心で、軽く焼いたトースト、ナッツ、少し熟したカマンベールチーズ、キノコ なども加わります。 熟れた果実がアタックから印象的で、引き締まった酸味は膨らみのある泡立ちが豊かさを与え、ふっくらとしたバランスとなり長い余韻へと繋がっていきます。
凝縮した果実味が口の中を支配するこれぞブラン・ド・ノワールというユリス・コラン渾身の1本です。

<<販売業者の宣伝文より>>

実際飲んでみて、石灰の粉のようなひんやりした香りがして果実を感じさせるものはわずかにすだちのような甘さのない柑橘系で、かなりの辛口なのかなと用心してかかると、辛口どころではなかった。青梅をかじったような渋さがあって、口をすぼめずには飲めないようなものだったのだ。これにはちょっとショックを受けてしまった。あまりの厳しさに、2杯であきらめて翌日飲むことにした。

結果は良好で、ふくよかでリンゴの蜜のような感じがあって渋さは消えていた。こういうシャンパーニュは空けてすぐ飲むのではなく、空気にふれさせて置いておく、もしくはデキャンタージュして飲むようなものかもしれない。

そして思うことは、抜栓してすぐに飲めないってシャンパーニュなんてずいぶん意地が悪いではないかと。

このシャンパーニュの仕様

ブドウ品種構成ピノノワール100%
デゴルジュマン時期不明
甘辛度Extra-Brut
ヴィンテージNV

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