今回紹介するのはフィリポナ・ノンドゼです。ノンドゼはシャンパンの製造工程で瓶内熟成後に澱抜きをしたあとに加糖を行わないタイプのもので、ドサージュゼロ(Zero Dosage)とも呼ばれる。
シャンパンの製造工程をかいつまんで説明すると
1.ブドウの収穫を行い
2.ブドウを圧搾してジュースを取り
3.発酵させ(ブドウジュースに含まれる糖分を微生物の働きによってアルコールに変換)
4.発酵してできたワインを混ぜ合わせて、シャンパンのスタイルを決める(調合、アッサンブラージュと呼ばれる)
5.瓶詰め(4のワインに酵母と蔗糖を加えたリキュールを添加し瓶詰めを行う)
6.瓶内二次発酵を行い(5で加えた糖が酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスに分解され、炭酸ガスはワインにとけ込み、酵母は澱となる)
7.熟成(最低15か月以上寝かせる)
8.瓶内の澱を瓶口に集める(瓶を斜め下に倒立させ、毎日瓶を1/8回転ずつ動かすことで澱を瓶口に集める。ルミアージュと呼ばれる工程)
9.澱抜き(マイナス20度の塩化カルシウム液に瓶口をつけることで澱のたまった部分を凍らせた状態で栓を抜くと、瓶内が高圧になっているので澱だけが飛び出す。デゴルジュマンと呼ばれる工程)
10.ドサージュ(澱抜きして瓶に蔗糖を添加したリキュールを注ぐことでシャンパンに甘みをつける)
11・打栓(コルク栓を打ち、コルク栓の頭に口金をあてて針金で固定)
12.ラベル張り
と、シャンパンはふつうのワイン以上に手間がかかるのだが、10のドサージュで澱抜きをして加糖しないタイプが今回取りあげるノンドゼです。市場でよく出回っているブリュットはドサージュが1Lあたり12g以下のものです。
さて、ここで疑問に思うのは糖が12g以下となっているが、これはリキュールの重さなのか、リキュールに含まれる糖の重さなのかはっきりしない。このあたりのこともおいおい調べていこうと思う。
よく冷やした状態でグラスに注ぐとブリュットのときと同じようにブラッドオレンジの香りがあったが、柚子やグレープシードオイルの香りは現われてこなかった。香りの要素としてはブリュットよりも少ない。香味のまさったオレンジピールの味わいもブリュットと同じだが、余韻の長さがブリュットほどではなかった。ブリュットで感じた余韻のハチミツがなかったのは物足りなかった。好みとしてはノンドゼよりもブリュットのほうに軍配があがる。
ただし2日後に飲んだら、後味のハチミツを感じられたので抜栓して日をおいてから飲むほうがよいと思った。こういう飲みかたは好きではないので、デキャンタージュしたらよいのかもしれないと思った。まあ、わざわざそんな面倒なことをやるならノンドゼを選択せず、ブリュットを飲むほうがよい。
このシャンパーニュの仕様
ブドウ品種構成:ピノノワール65%、シャルドネ30%、ピノムニエ5%
甘辛度:ノンドゼ(Non Dose、Dosage Zero)
ヴィンテージ:NV
デゴルジュマン:2018年1月
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