ここのスタンダードタイプのブリュットが2杯半くらいまでうんと魅了されたことは前に書いたが、それを期待してのミレジム2007。
スタンダードタイプにあったような高級メロンの香りを期待していたのだが、抜栓するやいなや困惑してしまった。期待をかけていただけに、期待していたものがないことを悟るのに抵抗したい空虚な気持ちがあった。薄くやせ細った枯れたような香りには幻滅してしまった。そこにはよく嗅がないとわからないくらいにレモンや石灰の混じった酸味のある香りに発酵中にパン種の香りがあった。この系統の香りは以前ぼろくそにくさしたフランソワ・ビリオンと同じものだった。
せっかく開けたのでなんとかしなければと思うこと自体が苦行なのだが、しけた線香花火のようなシャンパンを1回でそんなに飲めるわけでもないので、3日から4日かけて飲まなくてはと思うほどだった。
今までに開けた瞬間に飲む気をくじかれるようなことが何回かあったが、振り返ってみるとどれも他の銘柄とセットでお得な価格で売りに出されていたものであることに気づいた。今回のミレジム2007はスタンダードタイプのブリュットとの飲みくらべセットで売りに出ていたのだった。スタンダードタイプが前半が素晴らしかっただけに、こちらは飲みごろが過ぎたものを捌くための抱き合わとして売りに出されたのではないかと思うほどだった。販売会社の紹介文にはなんともそそられる文句が並べられているが、これはかつてこのシャンパンが持っていた魅力をスケッチしたものなのだろうか。私の感想とひじょうに隔たりがあるので飲みごろのときはこういったことだったのだろう。
輝きのあるゴールド、きめ細やかな泡立ち。フローラルなアルマと洋梨や桃の果実の香りや、熟成によってもたらされる、豊で複雑な香り。フレッシュさを感じながらも奥行きがあり、2007年の特徴であるとても調和のとれた味わいをお楽しみいただけます。
<< 販売サイトの紹介文より >>
結局のところ 飲みごろを逸してしまうとシャンパンの香りは乏しく、楽しいことといったら抜栓するときの景気のいい音しかない。瓶に記載がないのでわからないがデゴルジュマンはかなり以前に行われていたのではないかと思いたくなる。やはりシャンパンはたいていのものは出荷したてのものが良いという結論にいたった。
このシャンパーニュの仕様
ブドウ品種構成 | シャルドネ59%、ピノノワール26%、 ピノムニエ15% |
デゴルジュマン | 不明 |
甘辛度 | Brut |
ヴィンテージ | 2007年 |
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