ゴッセは1584年(天正12年)に設立されたメゾンでシャンパーニュメゾンの中でも古い歴史を持つ。そのころ日本ではその2年前には本能寺の変があり、その前年には賤ケ岳の戦いで秀吉が柴田勝家を滅ぼし信長家臣団の中で地位を固めた時期にあたる。
飲むにあたって温度により香りの立ち方、味わいを気にしようと思ったので2つのグラスを用意した。1つはすぐ飲む。もう1つは温度が上がったところでどう味わいが変わるか見ることにした。
すぐ飲んだものは酸味の少ないりんごの香りが際立っている。リンゴの爽やかな感じはなく、焼きリンゴのような濃密な甘い香りだった。ここまでリンゴの甘い香りが強いものは飲んだことがないので、今後は甘いリンゴの香りのシャンパーニュといえばゴッセがすぐに浮かぶだろう。
飲んだ感じは香りから受けた印象ほど甘くはなく、清涼感のある爽やかな感じがした。味は香りのもつ個性ほど際立ったものはなかった。なので、鼻をつまんでこのシャンパーニュを飲んだとしてもゴッセとはわからないだろう。良くも悪くも普通のシャンパーニュである。味わいは特筆すべきものはなかったが、気になった点として、これもまたよくあることだが、上あごの奥の方にえぐみが残るのである。これは快いものでないのでなんとかしたいが、すぐに温度が低すぎることに原因があると思ったので、もう1つのグラスの温度の上昇と香りに変化が出たところで、どうなるかを探ろうと思った。
すぐに飲んだ方の温度は8度。これは氷をはったバケツにボトルを30分入れておいた状態で注いだときの温度である。もう1つの方はグラスに注いでから30分放置し、12度になった。この状態ではリンゴの甘い香りもさらに強くなり、ねっとりしたような濃密さがさらに強くなった。また温度が上がったことで香りも包み込むようなまるみがでてきた。味わいも甘さが感じられ、この温度の方が良い。だが、8度のときほどではないが依然として上あごの奥にえぐみを感じる。これは甘味が増したことによりえぐみが感じにくくなったのではないかと思っている。このえぐみはそれを打ち消すような食べ物があると感じられなくなるものではないか。こういうことは料理屋に行ってサービスの方に相談すれば、そういうメニューを教えてもらえると思っている。やはり温度は重要だ。12度で飲むにはどれだけ冷やせばよいか、外気温との関係もあるので簡単なことではないが、経験値を増やすことで、そのあたりのことが感覚としてわかってくることに期待したい。
このシャンパーニュの仕様
ブドウ品種構成:ピノムニエ15%、シャルドネ43%、ピノノワール42%
ノンマロラクティック発酵
甘辛度:ブリュット
ヴィンテージ:NV