Heidsieck Monopole Brut(エドシック・モノポール・ブリュット)を飲む

飲んでみて

今回はエドシック系からモノポール・ブリュットを選んだ。エドシック系なんていう言葉は耳慣れないが、筆者は昨年の暮れに初めて聞いた言葉であった。銀座の料理屋でボランジェを空けたときにサービスの方から好きなシャンパンを聞かれ、ブランノワールもしくはピノノワール主体で飲みごたえのあるタイプが好きだと言ったら、エドシック系はどうですかと。飲んだことがないのでわからないと言うと、桃野さんだったら気に入ると思いますよと。そのことが気にかかっていたのでエドシックと名のつくものを片っ端から飲んでみようと思ったのだ。以前にパイパー・エドシックを取り上げたが、これはボランジェとは程遠く、日本酒でいうところの端麗辛口と評したいものだった。

今回のエドシック・モノポールは写真ではそうでもないが、実物を見るとなんとも言えない安ぽっさがある。数あるシャンパンの中からこれを選択することには戸惑いがあった。値段も四千円しなかったし、イオンモールでは三千数百円だったのでシャンパンにしては値段が安いが大丈夫なのだろうかと不安もあったのだ。またラインナップもブリュットのBLUE TOP、セックのRED TOP、ミレジムのGOLD TOP、ドサージュを抑えたSILVER TOPとあるのも大衆的なネーミングでありがたみを感じない。シャンパンには贅沢さや華やかさ、それとしみたっれたものを寄せつけないなど飲みものの良し悪し以外の要素も求めたくなるので、安っぽい外見、値段が相場よりも安いということは敬遠されがちなのだ。実質を追及するならば、そうした偏見にとらわれていることは良いシャンパンとの出会いを棒に振ることになるかもしれないので慎むべきだが、シャンパンはそれだけではすますことができないのも事実である。見た目を必要以上に高級そうに凝らしたものはいかにもといった感じでイカサマ臭くて嫌だが、だからといって安っぽくみえてもかまわないかというと、それも嫌である。そう考えるとシャンパンはほかのワインと違ってイメージも売っているので化粧品やファッションブランドのような商品と似ているとつくづく思う。そういうことからエドシック・モノポールは特異な存在だと思うが、このシャンパンはアメリカ、フランス、イギリス、ドイツで人気があり、ポメリーグループの主翼を担っているという触れ込みなので、欧米の消費者はシャンパンに飲みもの以外のものを求めていないのかもしれない。

飲んだ感想だが、よく冷やした状態でグラスに注ぐとライムやミントの香りに目立たないが甘さを抜いたトニックウォーターのような香りがベースにあって心地よい。グラスから立ち上る香りは爽やかだ。味は香りにある同じ要素があり、飲んでいて気持ちいい。しっかりした重みもあり飲みごたえもある。後味にほのかに甘みが残るのもよい。これこらの季節、湿度が高く、うっとうしくなるので気分を晴らすには最高の銘柄だと思った。外見の安っぽさからレストランでもワインリストに載せることを躊躇しているのだろうが、そんなことにとらわれず載せてほしいと思った銘柄である。

このシャンパーニュの仕様

ブドウ品種構成:ピノノワール70%、シャルドネ20%、ピノムニエ10%

甘辛度:ブリュット

ヴィンテージ:NV

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