前回のエドシック・モノポールが良かったので、今回も期待を寄せつつシャルル・エドシック・ブリュット(Charles Heidsieck Brut)を空けてみたが、状態が悪くコメントのしようがなかったので食事との取り合わせを探ってみることにした。
よく冷やした状態で抜栓した。かすかにシャンパンとわかるような香りで、かろうじてオレンジピールの匂いがあった。抜栓したときの香りだちが一番よいはずなのに微弱なので拍子抜けをした。味は甘さの中にグレープフルーツの苦い部分のえぐみがあって、後味に甘さのない粉末ソーダが口の奥で残ったような変な感じがあった。はっきり言ってまずい。まずいと思ったが、2杯、3杯と飲むうちに何とか飲めなくはないが、楽しい気分にさせてくれるものではないことがはっきりした。ボトルの佇まいがシックなだけにコルク栓がコルク片を固めただけのものだったのが気にかかったが、結局のところ見かけだおしのシャンパンなのではと疑ったが、こういうスタイルを目指すはずはないと思うので状態が悪かったのだろうという結論にいたった。
ふつうに飲むのはやりきれないので、こういう機会に食べ合わせのまずさを探ってみようと思った。そこでカレーライスと合わせてみることにした。
けっしておすすめできない取り合わせである。カレーを食べた後に飲むと、口の中に灰を詰め込まれたような不快感が残る。この不快感はカレーを食べることでなにごともなかったかのように解消されるのでカレーの強さを知ることとなった。
不快感もある限度を超えると快楽に転じやしないかと、今度はもっと不快感が際立つようにしてみようと思った。 味は相対的なものなので添える食べ物や調味料によって変わってくる。 スイカに塩をかけると甘くなるのと同じことをやってみることにした。後味の不快感をもっと強くさせようとカレーにハチミツをかけてみると、えぐみは増すが後味の粉末ソーダが残る感じはそれほど強くはならなかった。期待したような結果が得られなかったので、この方面での試みはやめ、シャンパンの救済にかかることにした。
以前、バーテンの方から悪いシャンパンは凍らすといいと聞いたことを思い出したのでガラスの容器に入れ冷蔵庫の冷凍室に入れることにした。
2日後、シャンパンはシャーベット状になっていた。アルコールが入っているので完全には凍らない。
シャーベット状のシャンパンはえぐみが増して前よりもまずくなった。見た目はおもしろいが、それだけである。
そこでエルダーフラワーのリキュールをかけてみると、救済以上の結果となった。シャンパン2に対してリキュール1でいいカクテルとなった。これにフッレシュオレンジジュースを入れてミントの葉を挿してみたらもっとよくなると思う。リキュールをメロンリキュールに替えてみたが、こちらはえぐみがさらに増してまずくなった。やはり、エルダーフラワーにオレンジジュースを加えてみるのが良さそうに思えた。悪い状態のシャンパンは凍らすことで何とかすることができることがわかった。
このシャンパーニュの仕様
ブドウ品種構成:シャルドネ、ピノノワール1、ピノムニエ各1/3づつ
甘辛度:ブリュット
ヴィンテージ:NV
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